思想・歴史コース 在学生
私は元々他学部を第一希望としていたこともあり、入学時点では所属コースについてはっきりと定まっておらず、「研究入門」科目を受講してからコースを決めようと考えていました。ただ、高校の地理歴史と公民の教員免許取得という目標があったため、それができる仏教学科の方に所属したいとは考えていました。
入学当初、私は仏教に関する知識がほとんどありませんでしたが、「仏教学演習基礎」の授業を受講して、仏教学に関する基礎知識や仏教に対する考え方が身につきました。またそれと同時に、仏教学のおもしろさや仏教と現代の課題との関連性について学ぶことができました。この授業を受講したことで、仏教に関する学問領域の幅広さを実感するとともに、どのテーマが自分の専門領域に適しているのかを探すきっかけともなりました。
また、「仏教デス・エデュケーション」の授業を受講して、仏陀や日蓮聖人の死生観はもちろん、死を受け入れる人側の悲嘆プロセスや脳死や自死、看取りなど、現代の死生に関わる問題についても学び、非常に深い知識を身につけることができました。この授業で身についた知識と経験は、将来私が教員になり、授業で「死」を取り上げる際などに活かせるのではないかと思います。
これらの授業を含め、私は2年生までに仏教思想・仏教史・美術史・文化史など様々な分野の授業を受講しました。その中で、一番興味を持った分野が仏教思想でした。また、「東洋文化史」の授業で取り上げられた儒教の思想にも興味を持ったため、両思想の共通点や異なる点をもっと深く知りたいと思い、コース選択では最終的に「思想・歴史コース」を選びました。
文化・芸術コース 在学生
私は「文化財」について興味があり、入学当初から「文化・芸術コース」に進級することを希望していました。その理由は、文化財に関する学修は「文化・芸術コース」でしか学べない分野だと思っていたからです。でも、文化財を思想や歴史的な視点から捉えるならば、実際は「思想・歴史コース」や「日本仏教コース」でも学ぶことができます。自分が学びたいことをどのような視点から捉えるかによって、自分に合ったコースが変わってくることを知りました。
その中で、私が「文化・芸術コース」を選択するきっかけとなったのは、「文化財論」の授業を受講したことです。今でこそ「文化財について研究したい」という明確な目標を持っていますが、2年生の始め頃までは、何をどのように学びたいのかはっきりとはしていませんでした。でも、この授業を受講して「私がやりたいのはこれだ!」とすごく実感しました。私は、高校生の時から寺院の伽藍や仏像の姿かたちが好きでしたが、日本の文化財の成り立ちなどについてこれまで深く掘り下げて考えたことがなかったので、授業を通じて、自分の興味関心の理由に肉付けができたような気がします。
私にとってコース選択の最終的な決め手となったのは、この「文化財論」の授業を受講したことと先生方の研究分野を把握したことであり、これによって所属したいコースを決めました。コース選択では、「コースを選ぶこと」に意識が行きがちですが、実際は「自分の学びたいことがどのコースで学べるのかを理解すること」が一番重要だと思います。仏教学部の先生方一人一人に専門分野があります。先生方がどの分野にフォーカスをあてて研究しているのかをよく知ることで、自分の興味の行き先が明確になるかと思います。
日本仏教コース 在学生
私は、高校生の頃から「子どもの自己肯定感」について興味関心があり、これに仏教的視点からアプローチがしたいという軸がありました。そのことから、入学前は自分が学びたいものは「思想・歴史コース」で学べるだろうというイメージを抱いていました。ただ、完全に「思想」という文字に引っ張られているだけのイメージであり、この時点ではただ漠然と、4つのコースの中であれば「思想・歴史コース」を選択するのだろうと考えていました。
1年次はオンライン授業が続いたこともあり、授業についていくのが精一杯でしたが、2年次になって専門科目が多く履修できるようになったことから、自分の興味関心がある分野が明確になっていきました。実際に受講してみて興味関心がわいたのは、日本仏教系や宗学系の授業でした。特に「日本仏教史特論」「現代宗教研究」「仏教デス・エデュケーション」の授業は印象に残っていて、私たちの日常生活にいかに仏教を活かせるか、身近に感じさせることができるか、について深く考えることができました。
これらの学修を通じて、私が以前から抱いていた学問的な軸とリンクできるのは宗学的視点であることに気づきました。この気づきによって、所属先は「日本仏教コース」か「法華仏教コース」のどちらかに絞ることができました。
3年次以降の所属コースについて最終的に選択しなければならない時期が迫り、どちらのコースを選択しようか、最後まで悩みました。悩んだ結果、自分の興味関心に対して日本仏教という広い視点からアプローチしてみたいという思いが強くなったため、最終的に「日本仏教コース」を選択しました。
法華仏教コース 在学生
私は、高校生時代から「答えのないテーマ」についてあれこれと考えることが好きで、哲学的な思索や探求に取り組めることを期待して、宗教や哲学を広く学ぶことができる仏教学部に入学しました。そのため、入学前は仏教学科の「思想・歴史コース」を選択肢として考えていました。一方で、卒業後の進路として僧侶になる道も考えていましたので、宗学科の「法華仏教コース」も選択肢の一つにありました。
1・2年次の学修は教養的科目の受講が中心でしたが、中でも特に興味を持った授業は「哲学入門」「哲学概論」でした。特に、トロッコ問題のような古典的命題に対する哲学的思考が、最新のテクノロジー開発、特に人工知能AIの技術開発に役立てられることを学んだのが驚きでした。今日では、道徳的・哲学的な意思決定として、様々な選択肢をいかにAIに学習・蓄積させるかが問われていることを知り、哲学が決して古い学問ではないことを学びました。
3年次以降に所属するコースの選択にあたっては、将来、日蓮宗僧侶を目指すという「卒業後の進路」に係わる部分が大きかったので、宗学科の「法華仏教コース」を選択しました。しかし、その理由は「僧侶になるため」だけではありません。以前、仏教学部の先生から、日蓮聖人の教えを学ぶ「宗学」は決して古い学問ではないというお話しを伺いました。もしかしたら1・2年次に学んだ「哲学」と同じように、「法華仏教コース」で学ぶことで、現代社会が抱える人類の課題に対して、他の学問領域とは異なる視点でアプローチすることができるのではないかと思ったのが、もう一つの選択理由です。
思想・歴史コース 在学生
私は、出身高校がキリスト教系の学校だったため、宗教の思想や哲学に興味がありました。そのため、入学当初から「思想・歴史コース」への所属を希望していました。しかし、絵画などの芸術分野にも興味があったため、1・2年次の授業を通じてじっくりと所属を考えることにしました。
入学前まではお葬式のイメージが強かった仏教でしたが、「思想・歴史研究入門」や「インド仏教史」、「インド哲学仏教学特講」などの授業で仏教の思想と歴史を学ぶことにより、単なるお葬式という範囲では収まらない仏教の奥深さに引き込まれ、「思想・歴史コース」への関心を高めていきました。
そのような中、私が最も興味をもったのは「サンスクリット語初級」の授業でした。日本に伝わった経典は元々この言語で書かれていたため、仏教の理解をさらに深めるために受講したのがきっかけでした。「サンスクリット語初級」では、私たち日本人にとって馴染みの薄いインドの言語に触れ、日本語とは全く異なる文法を学ぶため、世界の広さを知ることができました。そして、サンスクリット語の文字の一例として、特定の寺院や卒塔婆などにみられる「梵字」にも興味をもち、さらにはその他のインド系の言語や文字も学んでみたいと思うようになりました。「思想・歴史コース」では、サンスクリット語以外の言語として、3年次に「パーリ語入門」や「チベット語入門」の授業を履修することができるため、経典言語とその文字を勉強したかった私は、最終的に「思想・歴史コース」を選択することに決めました。
文化・芸術コース 在学生
私は元々美術が好きで、身近にお寺があったこともあって仏教美術に興味がありました。そのため「仏教美術について学びたい」と思い、立正大学仏教学部に入学しました。ただ、仏教美術を学びたいということ以外はまだまだ曖昧で、この時点では漠然と「文化・芸術コース」を選択するのが良いと考えていました。
入学後、様々な講義を受けているうちに、仏教美術はその土地の思想や文化・歴史など様々な事柄と関係していることを学びました。アプローチの仕方次第では他のコースでも仏教美術について学べることを知り、またその他の事柄にも次第に興味を持つようになったため、私は学科コース選択をすごく悩むようになりました。
そこで、所属したい学科コースを明確にするために、自分の興味のあることや自分が面白いと思った講義を挙げ、分類してみたり、興味のある講義をおこなっている先生の研究分野を調べてみたりしました。
私にとって学科コース選択の最も大きな決め手となったのは、「芸術実習基礎」と「文化財論」の受講でした。知識や見るだけでは分からないことを制作という実践から学ぶ「芸術実習基礎」。文化の捉え方や美術の変遷などから文化財について考える「文化財論」。これらの講義での学びにとても惹かれ、仏教美術に対する自分の興味関心が大きく広がったことから、「文化・芸術コース」を選択することに決めました。
日本仏教コース 在学生
私は当初、「思想・歴史コース」を希望していました。その理由は、日本や世界の歴史を幅広く学びたいと思っていたからです。しかし、この頃は漠然とそう思っていただけで具体的に何を学びたいかはまだ見出せておらず、また私は寺院出身者ではないので、何となく仏教学科のコースを選択するのだろうと思っていました。
入学後、2年次に受講した「日本仏教史特論」と「日蓮聖人伝」は特に印象に残っています。「日本仏教史特論」では、中世日本仏教史を政治・文化・信仰など様々な側面から学び、重層的な日本仏教の世界に驚き、その奥深さをもっと知りたくなりました。また「日蓮聖人伝」では、宗門史的・歴史学的という異なる視点を踏まえて日蓮聖人の生涯を学ぶことで明らかになる歴史があることを知り、知的興奮を覚えました。
このような学びを踏まえ、最終的に私は「日本仏教コース」を選択しました。最大の理由は、私の興味関心の軸が「中世」「日本」「日蓮教団の歴史」に定まったからです。正直「法華仏教コース」と迷いましたが、先生方からのアドバイスも受けて、日蓮教団が当時の人々にどのように受け入れられていたのかという課題を中世日本仏教史という広い視野から研究したいと考えました。この学びが実現するのは「日本仏教コース」であると確信し、コースを決定しました。
「日本仏教コース」は、日本の仏教に関する様々な事象を歴史学的視点から学ぶことができるところが魅力です。私のように歴史に興味がある人や、日本史を探究したい人にはぴったりなコースだと思います。
法華仏教コース 在学生
私は、入学前からずっと僧侶を志して日常生活を送っていました。そんな中、父から立正大学仏教学部の存在を聞き、自分なりに仏教学部のことを調べてみたところ、「法華仏教コース」で僧侶になるための深い学びができることを知りました。そのため、私は入学前から「法華仏教コース」を選択しようと考えていました。
1年次の授業では、仏教そのものの思想や歴史に関する基礎的な講義が多く、正直、私が入学前にイメージしていた学修の形とは少し異なっていました。しかし、2年次から僧侶を目指す学生のための専門的な僧階講座の授業が本格的に始まり、授業の難易度も急激に上がりましたが、1年次に学んだ仏教に関する基礎知識が、2年次の授業を受講する中でとても役に立ちました。そんな中、私が一番興味関心を持った講義が「日蓮聖人伝」です。この講義では、日蓮聖人の生涯について学んでいきますが、これまで詳しく知らなかった日蓮聖人という僧侶の存在を、自分の中によりくっきりと形づけて理解することができました。
私は、1年次に4つすべての「研究入門」科目を受講しました。その中で、はじめて各コースの学びの特色を知り、「法華仏教コース」以外のコースにも学問的な興味関心をたくさん見出すことができました。これらの学びを踏まえて、やはり私は当初より興味関心のあった、日蓮聖人やその門下、教団の歴史を深く学修したいという思いが一層強まったので、最終的に「法華仏教コース」を選択することに決めました。